「成年後見」制度って何? 今一度考えてみる
成年後見には法定後見と任意後見の2つがある。
‐判断能力があるうちに(元気なうちに)考えておくといい‐
成年後見という言葉
よく耳にするようになったと思いませんか?
新聞・テレビ・ネットなどのメディアでは、成年後見制度を利用してよかったという報道はまれで、
成年後見制度を利用したら
「こんな痛い目にあった」「自由にお金が使えない」「成年後見になった人がお金を横領していた」
というネガティブ報道をよく目にします。
財産を横領していたとかは論外ですが、
成年後見制度についてあらかじめ知識があったなら
例えば、
預貯金の解約するために成年後見人を付けたはいいけれど
よほどの理由がない限り、一度ついた成年後見人との関係を解除できないから
毎月数万円を後見人に支払い続けなくてはいけない
など、想定外の事態を回避できますし、事前に準備をしておくこともできます。
では、成年後見とはどんな制度なのかというと、
成年後見制度は,大きく分けると,法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。
また,法定後見制度は,「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており,判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。
法定後見制度においては,家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が,本人の利益を考えながら,本人を代理して契約などの法律行為をしたり,本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり,本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって,本人を保護・支援します。
「法務省ホームページ‐成年後見制度~成年後見登記制度~」より引用
とあります。つまりは、成年後見制度には法定後見(後見・保佐・補助)と任意後見があり、
法定後見は判断能力が不十分と思われる人のことを、その人が不利益を被らないように
成年後見人が守ってあげる制度であるといえます。
成年後見制度は、2000年から施行されていますが、
いまだに多くの方に認知されているとは言えない制度です。
ただし、事前に知っておけば有効に使える制度でもあります。
(制度、制度と何回もいって申し訳ありません。。)
成年後見については、法定後見と任意後見の2つがあることを
まず最初に知っておくとよいのではと考えています。
成年後見制度 ①法定後見
実際に成年後見制度を利用している方は
平成24年から平成29年の5年間で、
166,289人 → 210,290人と年々増えています。
これは高齢者の方が増えていることが予想されます。
厚生労働省の統計情報によれば、
成年後見を利用するきっかけは
・預貯金等の管理・解約
・身上監護
・介護保険契約
・相続手続き
・不動産処分
の順で割合が多く、特に預貯金の管理・解約の割合が目立って多くなっています。
「金融機関で口座の解約ができないので、後見人をつけてください」とか
「介護施設に入所する際に後見人をつけてください」といわれたときの
後見人というのは法定後見のことです。法定後見の場合は、後見人を家庭裁判所が選びます。
この場合は、口座名義人など本人に判断能力がない(認知症や精神障がいなどの理由で)と判断され
後見人をつけてくださいと言われます。
ほかにも、遺産分割協議を行う際に、認知症などで判断能力がない方がいると
後見人をつけなくてはなりません。
この一時のために後見人をつけてしまい、ずっと毎月何万円も後見人に報酬を支払わなくては
いけなくなり、そんなことは知らなかったと困ることになります。
(もちろん知ったうえで後見人をつける方も大勢います)
法定後見は、本人の判断能力が認知症や様々な障がいにより
衰えてから利用することになります。
成年後見制度 ②任意後見
任意後見の場合は、元気なうちに信頼できる方と
あらかじめ契約しておきます。
そして、自身の判断能力が落ちた時に
信頼できる方に後見人になってもらいます。
(任意後見の場合は、家庭裁判所が選ぶ任意後見監督人がつくことでスタートします)
法定後見との大きな違いは、後見人が自分の信頼できる人だということと
後見人への報酬をあらかじめ決めておくことができるということです。
例えば、息子や甥と任意後見契約を結んでおいて、報酬を0にしておくこともできます。
(ただし、任意後見監督人への報酬は発生します)
任意後見は自分が元気なうちに指定した人と契約しておける。
報酬を0にすることもできます。その際は、もちろん家庭環境にもよりますが後見人を頼む人に
遺言で財産を多く相続させるなどしておくといいです。
当事務所では、成年後見制度に関する相談を受け付けています。
どうぞお気軽にご利用ください。