「改正相続法」口座が凍結しても払い戻しができる?
改正相続法が2019年7月1日より始まります
令和元年(2019)7月1日より、改正相続法が本格的に施行されます。
民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律は、原則として2019年7月1日(ただし、自筆証書遺言の方式緩和については、
2019年1月13日、配偶者居住権及び配偶者短期居住権については、2021年4月1日から施行され、また、「法務局における
遺言書の保管等に関する法律」については、2020年7月10日から施行されることに決まりました。
引用:「相続実務が変わる 相続法改正ガイドブック」
相続法の改正は大きく分けて3段階で順次施行されます。
・自筆証書遺言の方式緩和
・持戻し免除の意思表示の推定規定
・遺産分割前の払い戻し制度の創設
・遺留分制度に関する見直し
・相続人以外の貢献を考慮
・配偶者居住権の創設
このように大きく3段階に分けて順次施行されていきます。
来月の7月1日から施行されるもので特にニュースとして取り上げられているのは
「口座が凍結しても葬儀費用等に充てるために、金融機関から預金を払い戻しできる」
ことが大きく取り上げられていたように感じます。
この記事では、口座が凍結しても払い戻しが
うけられる、遺産分割前の払い戻し制度の創設について少し説明します。
遺産分割前の払戻し制度の創設
口座凍結が凍結されると、
生活費や葬儀費用の支払いや、介護施設に入居していたり、病院に通院していた場合の支払いなど
に困るケースが多いのが現状です。
そんなときのために、自宅に現金をある程度持っていたり、口座が凍結する前に
金融機関に行って、支払いのための預貯金を引き出すケースもあるのではないでしょうか。
ただし、自宅に現金があることは危ないですし、口座凍結前に
預貯金を引き出すことも、後々のトラブルにつながるかもしれません。
そこで、遺産分割前でも金融機関からお金を払い戻しできることができるようになりました。
いくらまで、
相続人は、金融機関の窓口で、自分が相続人であることと、相続分の割合を示します。
引き出せる額は口座ごとに
ですが、金融機関ごとに150万円が限度額とされます。
この払い戻し制度は、家庭裁判所の判断を経ることも、他の共同相続人の同意を
得ることも必要なく、単独で払い戻しができることとしました。
引き出したお金は、仮払いであることに注意しましょう。
葬儀費用に使うお金を立て替えた場合は、領収書や銀行の明細書をきちんと保管しておけば
遺産分割協議をする際に「家族で負担するべき経費を立て替えた」と主張することができます。
今までは、亡くなった人の預貯金を、遺産分割がまとまる前に引き出すことはできませんでした。
残された家族は、葬儀費用や亡くなった人の医療費や入院費・介護施設などの入居費を、
一時的に立て替えざるを得ない状況でした。
遺産分割前に、葬儀費用などに充てられるお金が払い戻せることで
慌ててお金を降ろしに行くことや、自宅にまとまったお金を持っておく必要も
減るのではないでしょうか。